ファゴットって一体何者?

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ファゴットという楽器は今でこそ知名度は上がったものの

ポップスやジャズで使われるなど、身近に耳にする頻度は未だ低いままだ。

クラシック以外のミュージシャンと共演すると、時々

ファゴットってさぁなんでそんなに音小さいの?と言われる。

そう、ファゴットはなぜ音が小さいのか?

ぼくなりに勉強したり、経験に基づいて考えた結果、

それはわざと小さく柔らかくしているのだ、という結論に至った。

管体を二つに折り曲げ、トーンホール(指穴)を斜めに空けて管に厚みを持たせている。

緩やかなテーパー(少しずつ太くなってゆく)の設計になっている。

発音体となっているダブルリードは

そのままだとびっくりするくらいの大音量が出る。

ではなぜ、先人達はそのような努力をして音色を追い求めたのだろうか?

それは人間の声に寄り添うためだ、と思う。

ひとの声をかき消すことなく色彩を添えることができる設計ということだ。

クラシックをたくさんやっていた頃感じたことで、特にオペラをやると良く解った。

歌手は時としてファゴットの音を聴きながら自分の声を重ねていて、

こちらが失敗してしまうと歌手に多大なる迷惑をかけてしまうことがある。

責任は重大なのだ。

そして今有り難くも劇伴や古楽などのフィールドで細々と演奏させてもらえているのも

ひとえに先人達の努力の賜物なのだと思う。

話をルネサンス時代に遡ると、このように管体を折り曲げることによって

音を小さくする工夫がなされている楽器は以外とたくさんある。

写真奥がバロックラケット手前がテナードゥルツィアン どちらもファゴットの祖先と考えられている。
ロバハウス所蔵 ドゥルツィアンの語源はドルチェ ドゥース 等甘く柔らかいという意味だそうだ。

当時の音楽家がどのような演奏をしていたのかを正確に知ることはできないけれど

様々なキャラクターの楽器を生み出し、

多様性を受け入れ、発展させたルネサンス時代の人々の感性の自由で

豊かであったことは確かだ。

画面右端が私、オカダケイです。ショーム バロックラケット ドゥルツィアン リコーダー クルムホルンを演奏しています。

音楽はちゃんと社会を反映している、と思う。

現代の権力指向。誰もが成功や名声を追い求められるこの社会。

ある意味合いにおいてぼくらは自由を獲得したけれど、一方で大切なものを少なからず

取りこぼしているのではないのか、と思うようになった。

音楽においてはどんどん大きな音を求めて突き進んできた。

ぼくはジャズやインプロヴィゼイションが好きで、

その懐の深さに魅せられてきたのだけれど、

そこに、失われてきた多様性のかけらのようなものを見出したような

気がしてならないのだ。

それから、少しニュアンスは違うけれど、演奏する時、“ひととの繋がり”を大切にすることを心がけている。

まず、ぼくらが楽器を手にしたとき、既にその楽器をつくろうと思ったり

改良を重ねて音を追い求めて来た多くの先人たちと繋がる可能性を

手にしていることになる。

それを、ひとつひとつ丁寧に、時間をかけて紐解いてゆけば自分がなぜ

この楽器に魅せられたのか、そしてどのような表現をもとめているのか、

を見つけることができる。

そうして、演奏することによって現在の人と繋がることができる。

それを続け、発展させてゆけば未来の人とも繋がることができるはずだ。

どの楽器にも言えることだけれど、

その楽器の活躍するフィールドはその楽器を演奏する人が開拓しなければ

ならない、と思う。少なくとも先人達はそうして来たのだから。

そう、探せば居る

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