詩人、茨木のり子の詩に、自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ という一節がある。
その言葉が当時のぼくにはものすごく突き刺さった。
興味を持たれた方は是非詩集を手に取っていただいて、じっくり味わってください。
ぼくは音楽大学を卒業した時、就職したい就職先はオーケストラ以外に無く、
演奏のアルバイトから飲食店の厨房に至るまで
さまざまなアルバイトをしながらひたすらオーケストラの入団試験を受けていた。
何度かは最終選考に残ったものの結局は正団員になれなかった。
負けた。
負けを認めたぼくは素直に楽器屋さんになって裏方の仕事をしようと思った。しかしながらその裏方だのという考え自体が大間違いだということにに後になって気づく。
そして当然のごとく世の中は甘くはなく、そんな人間の居る場所は無かった。
ぼくを迎え入れてくれたのは以前アルバイトをしていた飲食店だった。
厨房で料理を作る毎日は我が家に帰ってきたようで楽しかったし、何より夢中で働くことが気持ちよかった。
そしてまわりを見渡して見れば、バンドマンや劇団員。
以前は気にも留めていなかったけれど、好きなことを続けながら仕事をしている人達が輝いて見えた。
誰だって自分を肯定したい。好きなことをして生きてゆきたい。
しかしながら自分を否定する要素、言葉は世の中には溢れかえっている。
そんな時この、自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ!
というフレーズに出会った。
背中をばしっと打たれたような気がした。
他人にどう見られるか、を気にしすぎるより、自分は何を伝えたいのか、
を考える。
何かを好きだと思う感受性を守るところからはじめて
ゆっくりと少しづつ好きなことを増やしてゆきたい。
写真
右上 グリーン リトープス
中央上 ヴィンテージフィルムカメラOLYMPUS TRIP35
中央 茨木のり子詩集 谷川俊太郎選 岩波文庫
左 リーディンググラスciqi シキBurtダークブラウン
左 Piccino ピッチーノ ブックカバー文庫判
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